瀬戸内海を渉る(十八次 瀬戸内カヤック横断隊 備忘録)その1

クスノキコータです。
「瀬戸内カヤック横断隊」は2003年に結成され、過去17回にわたり毎年瀬戸内海を西から東、東から西へのカヤック旅を実施してきた。それは有料有償の商業ツアーではなく、自己責任のもと自力で集結した有志の集まりである。
※瀬戸内カヤック横断隊の詳細については、こちらのリンクからご覧ください。
その第十八次瀬戸内カヤック横断隊(2020年11月15日~21日)に参加してきた。その備忘録です。

準備

今回初参加。7日間も無補給のシーカヤックキャンプなど経験がない。

普段ツアー・スクールで使用しているカヤックとパドルで参加することにした。
カヤックは、ショアラインフェーゴ(パドルコースト)スケッグ仕様
パドルは、ブラチャトルネード60(215cm)

常連のマーさんや過去に参加した糸井くんたちから情報を集めて準備を進めた。

テント・寝袋・着替え・鍋・酒・etc…これだけの荷物を積載できるシーカヤックのポテンシャルにワクワクする。とはいえこれでギュウギュウ詰めである。(≧▽≦) ちなみにペットボトルに2本に入っている白いものは、マッコリではない。「米」である。

1.「水」

キャンプ地でも補充できる可能性があるが、確実とは言えない。15リットルは持っていきたい、との情報。

5Lの透明ウォーターバッグ×2個と4Lのドロメダリーバッグ×1個と1Lの水筒(ナルゲンボトル)を利用した。ツアー中はすべてコックピット内収納した。理由は3点。
1.一番重い「水」をカヤックの中心部に積載することで、バランスをとる。
2.上陸の際、ウォーターバッグを真っ先に下ろせば、重量を軽くできて運びやすく出来ること。沈脱しても、ウォーターバックを捨てることで、重量を軽くしてリカバリーし易く出来ること。
3.万が一のトラブルの際、ハッチ内での水漏れを防ぐこと。
また

同じような理由から、ビールや酒類もコックピットに収納することにした。缶ビールを10本ネットに入れて、シートの後ろスペースに突っ込むことにした。(しかし、これが後で惨事を招くことになる。)

2.「食事」

キャンプ地の夕食・朝食は、コンロを使って温かい食事を作る余裕があるが、昼休憩はケースバイケースで短時間になることもあり調理する時間がとれないこともあるとの情報。

そこで作戦はこうだ。

昼は行動食でと割り切ってしまう手もあるが、寒い場合は暖かい食事があるとうれしい。
なので、朝食で温かい食事を多めに用意して、それをスープジャーで保温して昼食にすることにした。調理器具は当初メスティンで考えていたが、容量が小さく一食分しか調理できないと考えて、やはりここは、普段からツアーで使ってる「無水鍋」を持っていくことにした。



参考:シーカヤックツアーの小道具【KING無水鍋の巻】

コンロは、SOTOのレギュレーターストーブ+カセットボンべ3本、そして糸井隊士のアドバイスで焚火サイトで使う五徳を持っていくことにした。

食材はフリーズドライや缶詰やレトルトパックを使わない方針でやってみた。主食の米2.5リットルを1.5リットルのペットボトル2本に分けて、カヤックのバウとスターンの先に収納した。野菜は生の泥ネギを丁度いい長さに切りそろえジップロックに入れる。タンパク質は、純国産の保存食「高野豆腐」と魚肉ソーセージ。それらを和風だし、コンソメ、カレーパウダー、中華ペーストなど多彩な調味料でリゾットにする作戦である。
そしてお楽しみの一品として自家製ベーコンを一本準備した。

3.「服装」

糸井くんからは、瀬戸内海の水温は、三浦より低いとの情報。彼自身、防寒準備を怠って寒い思いをしたらしい。マーさんはフルドライスーツを持っていくとの情報。上陸後も真っ先に焚火をおこし皆で暖をとるとの情報。

11月の気候のウェアリングは難しい。太陽が出て風が穏やかなら汗ばむ陽気になり、曇り風が吹けば寒くなり、雨が降れば凍える。
フルドライスーツは、首から上と手首から先以外はスッポリ着れて浸水しないので簡単だが、陽気の中では、蒸れて辛くなる。そもそも首と手首に密着するラテックスがなんとも心地悪くて嫌いである。収納もかなりかさばる。だから持っていくのはやめた。

そんな理由で、ウェアリングは「レイヤリング=重ね着」で対応する方針にした。

上陸時の服装は、アンダーウェアは、1週間同じものウール100%の上下。そしてパンツはパタゴニアのギ・パンツ。ミッドレイヤーにはニセコの友人ガイドが「俺のR-1」と呼ぶワークマンの薄手のフリース、とパタゴニアのナノ・パフ。ニット帽とウールのソックスとクロックス。そして雨の時用にワークマンの雨がっぱ上下。

海上の服装は、普段とほぼ変わらない。違うのはアンダーウェア、普段は速乾性の高い化繊シャツを着ているが、汗を吸って乾くと匂いが臭くなる。1週間の長期間臭いのは嫌なのでウールのシャツを着ることにした。足もとは、糸井隊士の海水温の情報を踏まえ、2ミリのウエットソックスと丸められるソフト長靴にした。防寒用にミトンも準備した。

4.「その他」
長期キャンプツーリング用に、普段ツアーで使わないモノも準備した。
夜間航行用ストロボ(もっていたが滅多に使わない。)カメラ・ケータイ用のモバイルバッテリー、尿瓶、瀬戸内海のヨットチャートは糸井隊士が貸してくれた。

以上。あとは普段のキャンプツーリングと代わらないセット。テント・寝袋・ファーストエイド・修理セット。etc…

前日(移動日)


前々日の夜10:00、出発。
三浦から出発地点の山口県周防大島、逗子ガ浜まで、googleナビでは12時間とあったが、さてさて・・・
神奈川でマーさんとクニーさんの2名をピックアップ。早くも東名高速の町田インターで大渋滞。先が思いやられる。深夜か早朝かAM4時ころ愛知でアオヤマ二等兵を。通学時間に大阪の中心部天王寺区で井上さんを、お昼時にゴールの赤穂でイトウさんを。計6名でスタート地点の山口県周防大島へ。実は瀬戸内海は初めて。生まれて初めて「中国地方」に足を踏み入れた。

日没の30分前に到着。神奈川から出発して1000km、19時間が過ぎていた。



強い西風が吹いていた。すでに多くの隊士とサポーターが集結しカヤックが浜に並んでいた。暗くならないうちに、カヤックを下ろし、キャンプの準備。整えた者からボウボウと燃える焚火を囲み、皆久しぶりの再会に笑顔を咲かせていた。

初参加者は僕を含め3名。顔見知りは三澤隊士だけ。どうやら神奈川の隅っこから参加の僕が一番遠方からの参加らしい。

一日目 逗子ヶ浜海岸

朝、5時半に起床。昨夜はテント村から離れた自分のクルマで寝た。カヤックウェアに着替え、貴重品をまとめ、クルマを施錠。戻ってくるのは、8日後かな?2度クルマの施錠を確認して、カヤック元へ。
皆、言葉少なに旅支度を整えている。落ち着いている者、パッキングに手こずり少し慌てている者。
事前に何度かパッキングをしたはずだが、陸歩き用のクロックスがどうにも納まらない。
足元は15リットルのウォーターバッグ、シートの横もファーストエイドと水筒、シートの後ろにビールの隙間に無理くりねじ込んだが、どうしても片足が入らず、デッキのバンジーコードに挟むことに。
なんとも釈然のしない感じ(-_-;)

今次の横断隊の隊士は17艇17名。十人十色のカヤックが並ぶ。
潮流の海でのロングツーリングではラダーが有効とは判っていたが、ラダーがない艇は僕と原隊長だけだった。


6時30分、集合・・・・6時50分、ミーティングが始まらないし、締まらない(笑)
やっとミーティング。そして筏八幡宮に安全を祈願して、またここに無事でもどることを誓う。



7:20頃、サポーターに見守られながら、北西風が残る逗子ガ浜を、タモリユートリーダーを先頭に17人が離陸。


フォーメーション!復唱!噂には聞いていたが本当は不慣れなこのフォーメーションを少々面倒くさいと思っていた・・・しかし、この後、日を追う毎にこの認識を改めることとなる。
技量・経験・体力の異なるメンバー数十名を、50㎞の距離を安全かつ効率的に前進させるための方法を模索し、18年かけてこの形を作ったのだと理解できる。

前列のカヤックが、急に右に向きを変える。風の影響とは違う、目の前の海面が流れている。
本当は「どうやら流れているらしい」しか解らない。


時折大型貨物船やフェリーが横切っていく。うちの前の東京湾でも、世界屈指の交通量だ。でも航路を横切ることはない。この旅では、何度ものその航路を横切っていかなくてはならない。

リーダーやベテラン隊士たちが”本流”や”反流”を探しながら隊を進める。この時まだ僕には、どこで流れを判断しているのかわからない。
福良島~長島~続島~横島とアイランドホッピングしてゆく。

1,2時間おきに島影で小休止がはいる。海上休憩の時もあれば、上陸してランチ休憩も。


ちなみに、これが最初の休憩の時の画像(マーさん撮影)荷物満載だと、こんなに沈んでいる!!シームラインが水没している。自分で見てびっくり!

(^_^;)


天候が良いだけに、あわよくば上蒲刈島まで行きたかったみたいだが、理由は判らないが手前の倉橋島の亀ヶ首で着陸することとなった。15:00過ぎ。

上陸すると、何よりまず先にまず、流木を集めて、穴を掘り、焚火を起こす。皆、手際が良く、カッコイイのだ。
この長い焚火で、お尻を乾かすのが横断隊のお作法らしい。(≧▽≦)

その後、日が暮れる頃に、テントを設営して各自で夕食、真っ暗になるころ焚火を囲いその日の反省会が行われる。焚火に当たりながら、海図を観ながら振り返る。日中通過したコースは糸井くんから借りたヨットチャートは地図と地図の間で、載っていないエリアだった。

自分が海のどこに居るのかも良く解らない。ずっと頭の上に?マークが点いたまま、経験豊富な隊士達に、ただただ「連れて行ってもらっただけ」の初日になってしまったなぁ~。(;一_一)

逗子ヶ浜海岸~倉橋島亀ヶ首 28.5㎞

※specialThanks マーさんの画像を使わせてもらいました。ありがとう。


瀬戸内海を渉る(十八次 瀬戸内カヤック横断隊 備忘録)その2 へと続く。

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